福留孝介選手!24年間お疲れ様でした

小さい頃、中日ドラゴンズが好きだった。

推し選手は、福留孝介だった。

ヘルメットの陰であまり顔が見えなかった記憶がある。それが逆にミステリアスでよかった。バッティングは引っ張る印象が強かった。空振りしても様になる。打った瞬間のバット投げがたまらなく好きだった。投げるわけではなく、離すような動き。そして、打球は右中間に飛んでいく。純粋にかっこよかった。

走攻守揃った選手と聞いて、一番に思い浮かぶのが福留さんだった。ショートから外野にコンバートした後の福留さんしか知らないが、何でもできる選手だと思った。福留、アレックス、英智の強肩三人衆が本当に好きで、遠投の練習をよくしていた。刺せなくても絵になるのがこの三人の凄さだ。あの頃の中日は投手陣もよかった。歴代で一番好きだ。川上、岩瀬、ギャラード、どの選手も個性があって面白かった。

 

福留さんをより好きになった思い出は、まだメジャーに行く前の中日に在籍していた頃に現地観戦したときだった。中日側での観戦ではなかったが、自分は心の中で中日を応援していた。試合も中盤になり、まだ子供だった自分は、特に何も買うつもりがなかったが球場のお土産屋をうろうろしていた。そこに福留さんのサインボールが売っていて、どうしてもほしくなって親におねだりした。普段あまり物を欲しがらない息子が嬉しかったのか、買ってもらうことができた。そのボールは今でも大切にしている。そして、買い物を終え席に戻った瞬間、福留さんがホームランを打ってくれた。この時のことは、買ってくれたお礼だと勝手に思っている。今まで現地で野球観戦したことは2回しかない。でも、どちらの試合も推し選手がホームランを打ってくれたので、鮮明に覚えている。一つが福留さんで、一つが柳田さん。次に観戦するときは誰がホームランを打ってくれるだろうか。

 

そんな野球を好きになるきっかけを作ってくれた福留孝介選手が、今季限りでの引退を表明した。

自分の中の一つの時代が終わった気がした。

年齢も年齢だし、今季の成績ならそうなるかもと薄々感じていたが、実際に会見を見ると、やっぱりショックだ。また復活してくれるんじゃないかとか、まだできるんじゃないかとか期待してしまうのは、これまでの記憶にも記録にも残る実績があるからだと思う。打率が低くても、打たれてしまいそうな雰囲気を出せる選手はそういない。動体視力は衰えたかもしれないが、選球眼はまだまだ現役だと思った。代打福留の怖さは対戦ピッチャーなら皆味わったのではないだろうか。

記録を見ても、日米通算2450安打をはじめ、代名詞の二塁打も日米通算519本打っているすごい選手。日本だけでは2000安打達成にはならなかったが、1952安打は素晴らしい成績だ。でも2000安打達成して欲しかった。今年も去年くらいの成績だったら達成できるかもと期待していたが、惜しくも届かなかった。今年の安打数は、わずか一本。それが二塁打というもの福留さんらしい。

会見の中での福留さんは、どこか清々しい表情だった。その表情は、本当に悔いがないように思えた。野球が好きでたまらく、いつまで経っても野球少年のまま。やりたいことに挑戦し続けた野球人生は間違いなく誇れるものだ。自分も悔いが残らないように生きないといけないと感じてしまった。会見でも触れられていたが、WBCでの代打ホームラン、優勝を決めた時のタイムリー、松井の三冠王を阻んだ首位打者獲得。今でも思い出せるシーンばかりだ。

少し休んだら、また野球界に帰ってきてほしい。きっといい指導者になる。引退試合がいつになるかわからないが、きっと行くことはできないだろう。次に見に行くときは、コーチか監督のときになるかな。そうだといいな。

引退しても自分にとっては憧れの選手で、それは今後もずっと変わらないと思う。

 

24年間、本当にお疲れ様でした。感動をありがとう。