会議は旅の時間
会議の時間は有意義だ。
週初め。
みんな休みが明けたことに気付いていないらしい。
操られるように椅子に座り、視線は宙を漂っている。
覇気のない挨拶をお互いに済まし、
上司が呪文を唱え始める。
この数字の呪文は、旅に出る合図。
視線をスクリーンに向け、空想の旅に出る。
秋吉台に行くのも良し。
ハイデルベルク城に行くのも良し。
たまには恋人と水族館に行くのもいい。
この旅は、自分のやりたいことが何でもできるのだ。
自分の頭の中にあれば、どこにでも行け、何でも手に入る。
ほんの数分の旅。
「質問は?」
あー、またこの言葉で旅が終わってしまった。
目の前には、カラフルな棒やら丸が映し出されている。
そして、旅の妨害者が、こちらに視線を送っている。
だれも口を開かない。
周りを見渡すと、みんなそれぞれの旅に出ていたみたいだ。
安心。安心。
妨害者は、諦めたように終わりを告げる。
これが日常だ。
さて、
来週の旅に備えて、画面とにらめっこでもしましょうかね。